うめりのBLOG

ヨガ、アロマ、簿記が趣味のミニマリスト雑記ブログ

肩関節周囲炎の生徒さんがレッスンに参加されるとき、どうすればよいか?

RYT200のトレーニングで、怪我の管理入門についても学びました。

レッスン前には、生徒さんお一人お一人にお怪我などされていないか確認しましょうとも習います。

「長くヨガティーチャーをしていると、肩、膝、捻挫など、よく出会います。」と授業で聞いていました。

3年という短いヨガインストラクター期間でしたが、私も肩関節周囲炎の生徒さんに出会いました。

 

肩関節周囲炎は、四十代、五十代で発症する人が多く、四十肩、五十肩と呼ばれます。

腕を上げたり、背中側に回したりすることがしづらくなってしまいます。

痛みがひどすぎて、夜、眠れないこともあるそうです。

痛みが出ている場合は、ヨガでどうこうするのではなく、病院で診てもらうようにお伝えすることが大切です。

そして、ヨガの練習をしてもよいかどうか、主治医に確認を取っていただいてから、レッスンに参加していただくようにします。

 

私が所属したスタジオでは、レッスン前日に予約者情報が届くようになっていました。

ある時、「A様は、五十肩のリハビリ治療中。動かせる範囲で参加されるとのことです。」と注記されていました。

A様は、私がスタジオでレッスンし始めた時に1,2度お越しくださったお方で、長くお目にかかっていない生徒さんでした。

イキイキと太陽礼拝をされていた印象が強く残っており、なぜそんなことになったのだろうということと、

ヨガは腕を上に挙げる動きが多く、グループレッスンでどうしたものかと思いました。

レッスン前にA様へお見舞いを申し上げました。

「病院でリハビリ治療を受けたものの、痛みがあるのに腕を強く動かされ怖かったため、整骨院通いに変えました。整骨院では腕を揺らすなど、やさしい動かし方を教わって、自宅でも試しています。」とお話くださいました。

肩関節の可動域はどの程度なのか確認させていただきました。

A様は、肩のラインが0度として、左腕が10度ぐらいしか上げられない状態でした。

すごく辛そうで、私はその日、腕を上に上げるポーズをすべてカットしました。

無理せずできる範囲でと呼びかけることは簡単にできますが、それで場を仕切る者として、監督責任を果たしたとは言えません。このときの私には知恵がなく、リスクを回避するために、腕を上げないでおく、それしかできませんでした。

股関節、下肢にフォーカスしたレッスンを行い、A様は「気持ちが軽くなりました。また来ます!」ととても喜んで帰られました。

肩関節に問題のない他の生徒さんは、物足りなかったのではないか、ぐぬぬ、どうすればよかったのかと帰り道、私は思いめぐらせました。

 

次にA様が来られた時は、みんな快適winーwinを目指しました。

 

Ⅱ-46 STHIRA SUKHAM ASANAM.

アーサナ〔坐法〕は、快適で安定したものでなければならない。

スワミ・サッチダーナンダ 著 伊藤 久子 訳

インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ』P.249

発行所 株式会社めるくまーる 2005年3月10日 初版第五冊発行

 

ヨーガ・スートラにあるように、

みんながそれぞれ心地よくアサナの練習を行っていただくことが本来だと思いました。

肩関節に問題のない生徒さんと問題のある生徒さん、それぞれに対応した誘導をするようにしました。

ポーズのデモも同じように、可動域に問題のない人向けをしてから、呼吸がしづらい人や制限のある人向けのデモに移るやり方にしました。

太陽礼拝の中のUrdhva hastasana(両手を強く上に上げるポーズ)では、腕は上げられる範囲で上げていただき、デモも肩ぐらいまでの高さにして、肩が辛い方はこのぐらいでもいいと伝えました。

Utkatasana(椅子のポーズ)も腕を上に上げるポーズですが、腕はGarudasana(鷲のポーズ)の腕で入りました。

Virabhadrasana1(戦士のポーズ1)は胸の前で合掌してキープ、

Balasana(チャイルドポーズ)では、腕は前に伸ばせない状態でしたため、腕は体側に置いていただき、肩の力を抜いていただくようにしました。

腰痛緩和のスパイナルツイストでは、腕を横に伸ばすことが辛そうでしたため、腕は体側に下げておいていただきました。

肩のトラブルが禁忌となっているポーズ、Ardha purvottanasana(テーブルトップ)、Sasankasana(うさぎのポーズ)、Salamba Sarvangasana(ショルダースタンド)などは初めからシークエンスに含めないでおきました。

 

実際にレッスンをすると、RYT200でもっとたくさん質問しておけばよかったなと思うことがしばしばありました。

困ったときに相談できる人がいればよいですが、私にはそのような相手がおらず、RYT200のテキストを読み返したり、インターネット検索をして、以上の方法を自分なりに考えるのが関の山でした。

カラダのどこかにトラブルを抱えていらっしゃる生徒さんが来られた場合は、次の対応がよいと思います。

  1. 痛みが出ているかおうかがいする。動かさなくても痛いのか、動かすと痛いのか。
  2. 病院で診察を受けていらっしゃるか確認する。まだ診察を受けていらっしゃらないなら、スタジオ責任者へこのまま受講していただいてもよいか相談する。「病院で診てもらっていないそうですが、おそらく四十肩だと思います。」といった、勝手な見立ては行わないように注意する。
  3. 病院で診断済みなら、主治医はヨガをしてもよいとOKを出されているか確認する。ヨガの件を相談されていないなら、主治医にOKをいただいてからレッスン参加されることをおすすめする。大丈夫ですと仰る場合、スタジオ責任者に受け入れ可能か相談し、指示を仰ぐ。
  4. 主治医がOKを出されているなら、レッスンに参加していただける。ただし、トラブルのある部位が禁忌のポーズを行わないようにする。その他のポーズでも、痛みが出ない範囲で動いていただくように誘導する。当日のシークエンス中に軽減法が取れるものがあれば、〇〇のポーズが出てきますが、そのときはこうしましょうなど事前にお伝えし安心してレッスンを受けていただけるようにする。
  5. レッスン後に痛みが出ていないか確認する。

A様は、病院で診察を受けた際、「ヨガに通っているのに…。」と先生へお伝えすると、「腕をしっかり使えていなかったのでは?」と言われたそうです。

このようなエピソードを聞くと、ヨガインストラクターとして悲しくなります。

せっかくお金を払ってヨガレッスンに来られる生徒さんたちには、カラダの正しい使い方をインプットして帰っていただきたいものです。

腕を上に上げるときは腕の外旋をしっかり教える、腕を漫然と上に上げるだけではなく、きちんと腕の筋肉を働かせるとはどういうことかを体感していただく。

繰り返しレッスンを受けていただくことで、日頃のカラダの使い方が自然とうまくなっていく。

そんなレッスンを提供できるようにするために、ヨガ解剖学を学ぶことは必須です。

ですが、ヨガ解剖学をどんなに勉強したとしても、医師免許を持っていなければ診断は行えません。

わからないことは、「お役に立てず申し訳ございません。私では、わかりかねます。」と素直に伝えること、寄り添う気持ちを忘れずにしながら、まずは、医師の診断を受けていただくことをおすすめすることも、ヨガインストラクターとして大切な仕事だと思います。